子どもも大人も夢中に!ジブリの原点にふれる『高畑勲展』レポート
2025.07.02

スタジオジブリを代表する監督のひとり高畑勲さん。
2015年には『かぐや姫の物語』(2013年)が米アカデミー賞長編アニメーション賞にノミネートされた高畑勲監督は、2018年4月5日に82歳で亡くなられました。多くのアニメーションを手がけ、子どもから大人まで愛される作品を世に送り出した巨匠の制作ノートや絵コンテなどを展示した「高畑勲展 ―日本のアニメーションを作った男。」は、2025年9月15日(月・祝)まで、東京・麻布台ヒルズ ギャラリーにて開催中です。(取材:映画パーソナリティ・伊藤さとり)
では、一体どんな展示内容なのか。館内の写真と共に作品の説明も入れつつ、ほんの少しだけ、紹介していきますね。
アニメーションとの出会いと、創作の原点

ギャラリー内は、高畑勲さんの年表からスタート。
1935年三重県生まれ、岡山県で育ち、東京大学に入学。上京後に観たフランスのアニメーション映画『やぶにらみの暴君』(タイトル改訂『王と鳥』1955年公開)に衝撃を受けて東映動画(現・東映アニメーション)に入社します。
ここ(東映動画)で、長編初監督作品となる映画『太陽の王子 ホルスの大冒険』(1968年)を生み出します。なんとこの作品には場面設計・原画で宮崎駿さんも参加していますよ。
物語は、太陽の剣を持つ少年ホルスが様々な人と出会いながら悪魔と戦うアドベンチャー作品です。
子どもたちに愛される不屈の名作「パンダコパンダ」

その後、手がけた様々な作品の原画が展示されていますが、映画『パンダコパンダ』(1972年)と映画『パンダコパンダ 雨ふりサーカスの巻』(1973年)の展示を発見!
幼い子ども達に愛された不屈の名作で高畑勲さんは演出を担当、この作品でも宮崎駿さんは原案・脚本・画面設定を担当しています。物語は、お留守番をしていたミミ子の家にパンダの親子がやってきて、家族になるファンタジーアニメーションです。

キャラクターとしても人気があるテレビシリーズ「アルプスの少女ハイジ」(1974年)も高畑勲さんの演出によるもの。ここでも場面設定・画面構成は宮崎駿さんが担当。アルムの山でおんじと暮らす幼いハイジがペーターやクララと出会い、共に成長していくお話です。
人と人がどうつながるか。 『火垂るの墓』が伝えること

他にも演出・脚本を手がけたテレビシリーズ「赤毛のアン」(1979年)の原画を始めとする様々な作品の展示が行われていますが、先に進むとド~ン!と、『火垂るの墓』(1988年)のコーナーが。
もちろん、脚本・監督は高畑勲さん。第二次世界大戦の悲劇を、幼い兄妹の運命と共に綴った名作は涙なしでは語れません。野坂昭如さんの同名小説を映画化した本作は、戦争が二度と起こらないことを願って作られた子ども達に伝えていきたい傑作なので、是非、原画や脚本準備ノート、セル画などご堪能ください。
華やかなイメージボードと原画は必見!

そして個人的にも大好きな映画『平成狸合戦ぽんぽこ』(1994年)では、高畑勲さんは原作・脚本・監督を務めています。
物語は、多摩丘陵を舞台に都市開発で住処を奪われる狸達が知恵を使って人間に立ち向かう姿を綴った大活劇です。このコーナーでは、沢山並べられた華やかな色彩で描かれたイメージボードは必見!可愛いのなんの!間違いなく子ども達の目を惹きますよ。

最後はもちろん、米アカデミー賞長編アニメーション賞にノミネートされた『かぐや姫の物語』(2013年)のコーナーになります。この映画で高畑勲さんは原案・脚本・監督を務めていますが、音楽を手掛けるのはスタジオジブリの常連でもある巨匠・久石譲さんです。

日本人なら誰もが知る「竹取物語」を8年の歳月をかけて作り上げた傑作は、線画に水彩画で色付けした画面作りで多くの人の心を掴みました。
展示された原画やボードを見るだけでも、映画の世界で躍動するかぐや姫の姿が思い浮かびます。
パパンダのフォトスポット&カフェで思い出に残る1枚を!

この他にも高畑勲監督が手がけた作品の原画やセル画、ボードなどが年代ごとに展示されていたり、動画での解説や、高畑勲さんが演出したテレビアニメーションの1話上映があるなど盛り沢山。所要時間はおおよそ30分~45分です。
展示を堪能した後は、エスカレーターを降りてすぐ下にあるお土産コーナーへ移動。こちらでは展示会に登場した作品のグッズが販売されていますが、一部、本展示会限定商品もあるので要チェックですよ!

しかも、グッズコーナーの中には、『パンダコパンダ』のパパンダのお腹の上に寝そべられるフォトスポットがあるんです!頭上から写真を撮って貰えるので、是非、ミミ子やパンちゃんになったつもりで抱きついてみてはいかがでしょう。

また、お隣にはコラボカフェ『喫茶 高畑勲展』が期間中のみオープン。『パンダコパンダ』にインスパイアされたオリジナルメニューは目にも美味しいので写真映えも抜群です。
この夏、ご家族で日本を代表するアニメーション監督・高畑勲が生み出した名作の原画他を見に、麻布台ヒルズへ行ってみてはいかがですか?ただ、先に覗いた私が思うに、大人の方が興奮してしまう可能性大かもしれませんが…!?
展示会特設ウェブサイト
https://www.azabudai-hills.com/azabudaihillsgallery/sp/isaotakahata-ex/

伊藤さとり
映画パーソナリティ/心理カウンセラー。映画コメンテーターとしてTVやラジオ、WEB番組で映画紹介。映画舞台挨拶や記者会見のMCもハリウッドメジャーから日本映画まで幅広く担当する。
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