「ママは完璧じゃない」3児の母・安倍なつみが語る子育てとエンタメの関係

個性溢れる子犬たちとケント少年で結成されたチーム「パウ・パトロール」。みんなで様々な困難に立ち向かい、力を合わせて解決する人気アニメの劇場版『パウ・パトロール ザ・マイティ・ムービー』が2023年12月15日(金)から全国公開中です!なんと今回は、アドベンチャー・シティに隕石が落下?!しかも堕ちてきた隕石を身につけることによってマイティパワーを手にしたパウ・パトロールたちが、ライバルの市長たちの悪だくみを阻止しようと奔走するお話。前作『パウ・パトロール ザ・ムービー』に続き、映画オリジナルキャラクターの「リバティ」の声を務める安倍なつみさんに、「パウ・パトロール」が子どもの知育に役立つ理由や、3児の子育てで知る映画やエンタメの力などパウっと回答して貰いました。(聞き手・伊藤さとり/写真・岸豊)

親が思っている以上に子ども達は大丈夫なんだと感じました

― 子ども達にも大人気の「パウ・パトロール」の映画に続けて参加されていかがでしたか。

安倍:子どもが楽しめる作品に関われることへの喜びは、親になる前と親になってからとではちょっと違います。モーニング娘。として活動していた時も、今回のような子どもを対象にした作品はいくつか吹替をさせて頂いたことがあるんですが、親になったことで、その時とは違う気持ちで挑むことが出来ました。何よりも子どもが喜んでくれるのが喜びであり、嬉しいことです。
ママになって今回のような作品に関われることが、嬉しいと思うと同時にありがたいです。

― 『パウ・パトロール』はご自宅でも観られるのですか。

安倍:はい、皆で観ています。地上波(テレビ東京系6局ネットにて毎週金曜夕方5時55分~好評放送中)で放送されているので、あの時間帯が楽しみで(笑)。「良い子にしていたら見られるよ」と子ども達には伝えているので、ちょっとしたご褒美的な位置づけにもなっています。   

― 私の娘は小学校低学年なのですが、今でも『パウ・パトロール』が好きなんです。『パウ・パトロール』の魅力はどんなところにあると思いますか。

安倍:まず、個性豊かで愛くるしいキャラクターたちが魅力ですよね。【チェイス】は優等生で真面目なキャラだし、それぞれが持っているもの、例えば火に強い【マーシャル】がいざという時は先頭に立って出動するけど、どんな困難も皆で乗り越えていく。今回の映画でもそれで一件落着!
私も観ていて楽しいですし、子ども達も、もの凄い集中力を発揮して観ているんです。我が家は子どもが3歳の時に映画デビューをしたのですが、“1時間30分~2時間という映画で、そんなに長い時間おとなしくしていられるかな?”と心配しましたが、最後までグズることなく観る事が出来ました。その時は子どもの成長に素直に感動しました。

©2023 Paramount Pictures. All rights reserved.

『パウ・パトロール』もそうですが、映画館で映画を見せるということは、親が思っている以上に子ども達は大丈夫なんだと感じました。作品によるかもしれませんが、夢中になって観ることが出来る工夫が随所にされているのかなと思います。
今作『パウ・パトロール ザ・マイティ・ムービー』では、ちょっと途中で怖いシーンもあるので“どうかな?”と思う部分もありますけど、ストーリーは大人達もグッと入って観ることが出来る作品なので、かなりオススメです(笑)。

「私に出来ることはないかな?」と考えて、やってみる。そういうところがリバティらしい

©2023 Paramount Pictures. All rights reserved.

― 本作を見せることで子どものどういう部分が育つと思いますか。

安倍:友達と何かを成し遂げること。1人で出来ることもあるけれども、1人では無理な事でも皆で力を合わせれば乗り越えることが出来る。そういうことを学んで欲しいです。この映画を観れば、きっとそういうことを感じられると思います。

― 今作は前作『パウ・パトロール ザ・ムービー』(公開:2021年)に映画オリジナルメンバーとして登場した【リバティ(日本語吹替版では安倍さんが声を担当)】も成長するストーリーでもあります。

安倍:そうなんです、【リバティ】ならではのグッと来るシーンもあります。【リバティ】は最初、【ケント】に小さな子たちの面倒を頼まれたけど「私には無理だよ」って断ります(笑)。それでも「私に出来ることはないかな?」と考えて、やってみる。そういうところが“【リバティ】らしい”って私は思いました。

大人でも「人は完璧じゃない」ということを伝えることは大事

― 安倍さんは「3歳の時に映画館で映画を見せた」とお話されていましたが、その前もご自宅では映画を見せていたのですか。

安倍:はい。私も映画が好きですし、映画を観ている時は夢中になって観ています(笑)。私が何か用事をしている時に見せることもありますが、映画は特別で“なるべく一緒に観たい”と思っています。

― 映画を見終わった後にお子さんと映画について感想などお話しされますか。

安倍:はい。「映画どうだった?」と聞いてもだいたい「楽しかった」という返事が多いんですけど(笑)。でも「どんなところが楽しかったの?」など話しています。見終わった後は、子どももその作品からすごく刺激を受けていて、感動している様子が見受けられます。色々な影響を受けているものの、年齢的に上手に言葉にして伝えることが出来ないのかなとも。でも少し時間が経つと「ママ、こんなシーンあったよね」とか「こんなの出て来たよね」という話をするんです。それを聞いた時、ある程度ストーリーを理解できていると感じ驚きました。

― 安倍さんは子どもの「やる気」や「想い」を優先しているような印象があります。普段から心掛けているのですか。

安倍:そうですね、それもありますが、我が家の場合、“コミュニケーションを取りたい”といった感じです(笑)。会話やスキンシップなど、より近くで同じ時を一緒に過ごしたい感じです。今は人間というよりも子ども特有の動物的というか、子熊のような感じもあります。上の子2人が喧嘩をしていても子熊がじゃれ合っているみたいに見えて、そう思うと可愛く思えて、その中に私も入ってみたりします(笑)。今しかない時間がすごく尊いと感じています。あとは、出来るだけプラスの言葉を使うように心掛けています。なかなか上手くいかなくて、イライラで一日が終わることもありますが…。でも、そういうイライラも子ども達に伝えるようにしています。

― 凄いですね。

安倍:「実はママは今、仕事がたくさんあってね。家には子どもが3人いて、今はママひとりしかいないでしょ。皆はご飯を食べているけどママはまだ食べられていなくて、お腹がペコペコで大変なの。だからちょっと自分のことは自分でやってくれるかな」と言ってみたりもします。「ママも人間だよ。ママは完璧じゃない。やってあげたくてもできない時があるし大変なんだよ」と。特に長男は理解して来ているような気がしています。この前も長男が「ママ、荷物持つよ」と言ってくれて「大丈夫だよ」と伝えたのですが「いいよ、持つよ」という感じでお手伝いしてくれました(笑)。
大人でも「人は完璧じゃない」ということを伝える事は、大事かなと思っています。

― 「子どもだから」ではなく、ひとりの人間としても接していらっしゃるのですね。

安倍:そうですね、少しずつですが。私達は皆違う個の人間であり、社会は色々な人と助け合いながら生きているといったことを少しずつ教えていけたらなと思っています。

我が家にはゴジラとミニモニがコラボした人形があります(笑)

― エンターテイメントは子どもにどんな影響を与えると思いますか。

安倍:基本時にはハッピーなものを届けてくれるものだと思っています。それは「自己表現をする」ということのヒントにも繋がっていて、ポジティブでプラスのものを与えてくれるものだと思っているので、どんどん触れて欲しいです。
それにエンタメによって色々な言葉を知ることも出来ますよね。でもある程度の年齢になるまでは、親が「子どもに何を見せるのか?」を選別する必要はあると思っています。例えば今はクリスマスが近いからクリスマスを題材にした作品を見せるとか。季節や行事ごとを知れるきっかけにもなりますよね。

― 今、『ゴジラ -1.0』が公開されていて、店頭ではゴジラとミニモニがコラボしたグッズが売られています。冬休みなので子どもと楽しめる映画もたくさん公開され始めますよね。映画館をどう利用していますか?

安倍:我が家にはゴジラとミニモニがコラボした人形があります(笑)。たくさん見せたい映画があって、いい映画がドンドン出て来ているので今は渋滞している状態です。
映画を観ている間は、ママも一緒に休めるのがいいんですよね。2時間ぐらいゆっくり出来るので「ちょっと寝不足だな、パワーが足りないな」と感じている時は、一緒に映画を観ることで少しお休みをする。映画が終わってから公園に遊びに行くみたいな感じですね。そんな感じに上手く使っています。

― 子育てって頭と体を使うので親も休憩が必要ですよね。疲れると、つい子どもに対して怒っちゃったりもするんですよね。

安倍:もちろん怒ってしまったりすることもあります。「あの言い方は良くなかったかも」と反省する日々です。
以前、お出かけをしていてオムツを忘れていることに気づき、オムツ探しに走ったことがありました。結果、コンビニで買うことができ、本当に助かったという経験があります。日々色々なところで、色々な方に助けていただきながら子育てをしているなと実感しています。感謝ですよね。

― 仕事を続けている中で、母親になって気づかされたことはありますか。

安倍:エンタメの仕事は、唯一子ども達から離れられる場所でもあります。でも一番は感謝です。私は16歳で芸能界に入り、お仕事をさせて頂いています。まさか、家族が出来てからもオファーを頂けて、しかも子どもに関わるような作品に参加させて頂けるということに感謝しかありません。やる気がみなぎって来るというか、「ヨシ!任せといてください」みたいな気持ちでいます(笑)。再び、やる気スイッチが入った感じです。
家族が居ることの心強さ、「ママ頑張るよ」みたいな感じと、子ども達から「ママ、かっこ良かった」等と言われると「ありがとう」みたいな…、そのバランスから成り立つ循環がすごく嬉しいんです。
エンタメは仕事内容が目に見えるので子ども達が理解しやすいお仕事ですよね。私自身もこのエンタメの世界がすごく好きなので、いまだにやらせて頂けることにありがたいと常々思っています。

― 子ども達は声優やアイドルにも憧れます。それもエンターテイメントの力かもしれませんね。

安倍:そうですね。そのキャラクターが素敵だったら、そのキャラクターに憧れたり、やがてその裏には声優という仕事があることを知る。そんなふうに、様々な仕事があることを知るきっかけにもなりますよね。励まされたり、前を向く勇気だったり、背中を押してもらったりしたことが私自身、何度もあります。

映画を観て、家族でたくさん会話をして欲しい

©2023 Paramount Pictures. All rights reserved.

― 『パウ・パトロール ザ・マイティ・ムービー』を観た後にご家族でして欲しいことはありますか。

安倍:やっぱり家族でたくさん会話をして欲しです。映画オリジナルキャラクターもたくさん登場します。「今回はこうだったね」とか「あの時はどう思っていたのかな」とかキャラクターがどんな感情だったのか?などストーリーではあっと言う間に過ぎてしまうシーンがたくさんあります。でも「あの後、ジュニアパトローラーズの【ナノ、ミニ、プチ】はどうなったのか?」「【リバティ】はどうだったのかな?」とか、とにかくたくさんのコミュニケーションをとって、会話していただきたいです!だからこそ、この映画は家族で観て欲しい映画です! 私も子ども達と一緒に映画館へ観に行くので、今から楽しみです(笑)。

安倍なつみ NATSUMI ABE
1981年生まれ、北海道出身。
1998年「モーニング娘。」としてデビュー。数々のヒット曲を連発し、国民的アイドルグループのセンターとして活躍。2004年にモーニング娘。を卒業。卒業後は、ソロでの音楽活動を中心に、舞台、ミュージカル、テレビ、ラジオ等幅広く活動。主な出演作にドラマ『向井荒太の動物日記 ~愛犬ロシナンテの災難~』(01)、『ナースマン』(02)、『仔犬のワルツ」(04)、『荒川アンダー ザ ブリッジ』(04)、映画『ピンチランナー』(00)、『荒川アンダー ザ ブリッジ』(12)などに出演。2015年12月結婚。現在は3児の母として子育て中。

「パウ・パトロール ザ・マイティ・ムービー」
2023年12月15日(金)全国公開
監督:カル・ブランカー
【声の出演】潘めぐみ/小市真琴/井澤詩織/矢作紗友里/石上静香/松田颯水/小堀幸/安倍なつみ/魚建/日野聡/中島沙樹/森川智之/諏訪部順一/水田わさび/井上喜久子/種﨑敦美/鬼頭明里/高橋李依/仲間由紀恵 ほか
配給:東和ピクチャーズ
©2023 Paramount Pictures. All rights reserved.
公式サイト:https://www.pawpatrol-movie.jp/
公式X(旧Twitter):@ParamountFamJP

伊藤さとり

映画パーソナリティ/心理カウンセラー。映画コメンテーターとしてTVやラジオ、WEB番組で映画紹介。映画舞台挨拶や記者会見のMCもハリウッドメジャーから日本映画まで幅広く担当する。
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