ONIって何だろう?ピクサー出身監督がフルCGで描く温かい親子の物語

コラム

2022.10.20

アカデミー賞ノミネート監督による『ONI ~ 神々山のおなり』

ONI(鬼)って一体何なんだ?
このアニメーションを見始めてまず気になったのがコレ。
それから少しして、この物語は“子育てとは親も成長していく作業”という根本的なテーマをベースにした親子に見て欲しい作品なんだと気づきました。
それがとっても可愛らしくて温もりある全編フルCGアニメーションで描かれるんだから、見たら子どもも大好きになってしまうに違いない。

しかも堤大介監督は、もともとピクサーでアートディレクターを務めていて『トイ・ストーリー3』や『モンスターズ・ユニバーシティ』も手掛けてきた実力派。その後、独立して仲間と設立した「トンコハウス」初監督作品『ダム・キーパー』は、2015年米アカデミー賞にノミネートされました。

だからこそ、Netflixシリーズ『ONI ~ 神々山のおなり』は、日本的な部分とアメリカ人の立場から見た日本がミックスされ、「自分と違う種族への偏見」を持つ愚かさもさりげなく描かれているんです。

日本古来の神さまや妖怪が住む世界が舞台

物語の舞台は、天狗やかっぱ、だるまなど妖怪から神さままで暮らすある山。そこでヘンテコな神さまでお父さんのなりどんと暮らす勝気な女の子おなりは、英雄になる為に日々、学校で稽古をしています。

というのも古来から山の神々が恐れる「ONI」がやって来る日を数日後に控え、戦える準備をしていたのです。けれどなりどんは何も教えてくれず、おなりは親から伝授されるはずの秘技も習得出来ないまま。
焦るおなりでしたが、ほどなく運命を揺るがす出来事が彼女の身に起こります

日本の魅力が詰まった世界観

実はこの作品、先行して米サンフランシスコでワールドプレミア上映会が行われました。その際は、上映後にスタンディングオベーションという極上の称賛で包まれたそうです。

確かに親友のかっぱはお皿にひよこを乗せていて可愛いし、だるまはコロコロ回転しながら移動するし、たぬきの置物と思われる妖怪や、野菜の妖怪まで登場したりと目にも楽しいキャラクターが多数登場。

そこに日本らしい太鼓や笛のサウンドが響き渡るんだから、日本民話をファンタジーとして味わえる大人も大満足の映像美なのです。

子育てで「1番大事なこと」を教えてくれる

そんな世界が認める親子愛の物語には、学校生活や夕飯など、子育ての日常も綴られていました。
けれど、そもそも子育てにおいて一番大事なこととは何でしょうか?それは子どもに良い教育をさせることでしょうか?それとも知識を伝授することでしょうか?

物語では、なりどんはおなりの頼みも聞かずに秘技を教えようとしません。それでいて忙しいでもなく、毎日、自然と戯れ、のんびり過ごしているんです。
そんななりどんをクラスメイト達はちょっと馬鹿にしているようですが、おなりはお父さんが大好き。その理由は、なりどんはいつだって笑顔で一緒に遊んでくれ、おなりと過ごす時間を大切にしているからでした。

子どもは親の楽しそうに笑っている顔を見て安心するものと、製作者たちは知っていたのです。だからなのか、なりどんの顔は、ボタンのような黒目と大きな口という至ってシンプルな作り。

しかもトトロのように大きな体で喋らないのに、意思疎通が出来てしまうのも表情のなせる技。子どもが安心して住める世界を作るのは、大人たちの笑顔なのだと本作は伝えているんです。

伊藤さとり

映画パーソナリティ/心理カウンセラー。映画コメンテーターとしてTVやラジオ、WEB番組で映画紹介。映画舞台挨拶や記者会見のMCもハリウッドメジャーから日本映画まで幅広く担当する。
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Netflixシリーズ『ONI ~ 神々山のおなり』
全4話(154分) Netflixにて10月21日(金)より全世界配信スタート
原案・監督:堤大介 脚本:岡田麿里 エグゼクティブ・プロデューサー:ロバート・コンドウ、ケーン・リー、堤大介
プロデュース:サラ・K・サンプソン
アニメーション制作:トンコハウス (C) 2022 Netflix

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