シロが大活躍!全身全霊の愛に泣ける『映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記』
2024.08.22
1990年に漫画家の臼井義人さんによって産声を上げた「クレヨンしんちゃん」。おバカな行動はするけれど優しさと立ち直りの早さは人一倍の5歳児。そんな野原しんのすけが家族や友達と繰り広げる騒動を描いた漫画は、1992年にTVアニメになり、1993年には劇場版にもなってスクリーンで今も多くの人を楽しませています。その31作目に当たるのが、シロが大活躍する『映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記』です。
恐竜の子ども「ナナ」との出会い…東京が恐竜だらけに!?
恐竜を現代に蘇らせたテーマパーク「ディノズアイランド」が東京にオープン。しんちゃん達カスカベ防衛隊のメンバー(しんちゃん、風間くん、ネネちゃん、マサオくん、ボーちゃん)は、ご令嬢あいちゃんの計らいで「ディノズアイランド」へ行けることに。
時を同じく、いつものようにお散歩をしていた野原家の愛犬シロが、河原で恐竜の子どもを見つけます。その日からこっそり恐竜にご飯を与え世話をするシロ。それを知ったしんちゃんが恐竜にナナという名前を付けて家族に迎え入れるのですが、ナナを探していたビリーという青年が現れたかと思うと、「ディノズアイランド」の創設者バブル・オドロキーもナナを探していたことが発覚。そんな中、恐竜が脱走し、東京は恐竜だらけになってしまいます。
『ジュラシックパーク』『グレムリン』映画のオマージュが楽しい
恐竜のテーマパークによるパニック映画というと真っ先に思い出すのがスティーブン・スピルバーグ監督作『ジュラシックパーク』(1993)です。現代に蘇った恐竜が人間達を襲う物語は永遠の名作として世界中で知られています。今回の『オラたちの恐竜日記』では、その要素を盛り込みつつ、最近の発表で分かったカラフルで毛の生えた恐竜達がしんちゃん達の目の前に現れます。誰もが憧れる“あったら行きたい恐竜のテーマパーク”、けれどもし恐竜が脱走したら、しかもその舞台が渋谷だなんて、やたらと身近に感じてしまいゾクゾクしますね。実はこれ以外にもハリウッドの有名映画のオマージュが。それは可愛いけどちょっと怖いパニック映画『グレムリン』(1984)です。『オラたちの恐竜日記』では恐竜達が集まってイタズラし放題のシーンがあるんですが、その時に流れる音楽も聞いたことがある感じだし、恐竜がカツラをかぶってお洒落をしている姿も『グレムリン』で見たことあるような…。それもまた製作陣の遊び心です。
シロが体を張る理由に泣けちゃう
だけど映画は恐竜パニックモノと言い切ってしまうと勿体ないくらいハートフル。その理由に、シロは自分の兄弟のようにナナと接していきます。ひとりぼっちでどうしていいか分からず途方に暮れるナナに自分の餌を全部あげたり、興奮しすぎて我を忘れそうになったナナをシロが体を張って止めたり。なんでそこまでするのかと思いきや、シロもそうやって野原家に家族にしてもらったからというエピソードがあったんですよね。それだけで泣けちゃう。思えば今までシロが活躍する映画は多く作られています。特にシロが準主役となった『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ 歌うケツだけ爆弾!』(2007)なんて号泣!だってお尻に爆弾がくっついたシロが宇宙に飛ばされそうになり、しんちゃんがシロと逃亡するんだから。今回の『オラたちの恐竜日記』もシロが準主役と言っても過言ではない物語。シロが表情豊かに愛情いっぱいに自分と同じように野原家で平穏に暮らしていけるように願いに願っている姿に涙が溢れ、全身全霊の愛が人を優しくすることを教えてくれる作品でした。
『映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記』
8.9(金)恐竜フィーバー!!!
©臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2024
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伊藤さとり
映画パーソナリティ/心理カウンセラー。映画コメンテーターとしてTVやラジオ、WEB番組で映画紹介。映画舞台挨拶や記者会見のMCもハリウッドメジャーから日本映画まで幅広く担当する。
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