実写『リロ&スティッチ』ハワイとKAWAIIがぎゅっと詰まった映画体験

コラム

2025.06.06

(C)2025 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

ディズニーが実写化に込めた“アップデート”の理由

ディズニーは近年、今までのディズニー・アニメーションを実写化する試みを続けています。その際に行っているのは現代にマッチした物語の改定です。記憶に新しい作品ならば『白雪姫』が思い出されますが、白雪姫の名前の由来は「雪のように白い肌」ではなく、「雪の日に生まれたから」となり、「白馬に乗った王子様を待つ姫」ではなく、「行動する姫」へとアップデートされていました。このように、肌の色で美しさを決めつけないことや女性であっても行動することが素晴らしいというメッセージを伝えることに重きを置いて実写化しています。

CG技術でファンタジーの世界をリアルに再現

(C)2025 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

しかし何故、そこまで実写にこだわるのか。考えられるのは、ディズニーは世界的なシェアを持つほど老若男女にファンがいて影響力もあるので、積極的に多様性を尊重する作品を作っていく必要性を感じていることと、もうひとつはアニメだから描けていたファンタジーの世界が、CG技術の進化により実写化しやすくなったからではないでしょうか。

実写ならでは!オールハワイロケで文化を知る

(C)2025 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

そんなディズニーアニメの中でも本作『リロ&スティッチ』は、実写化する意味が大いにある映画になっています。理由は、なんといっても舞台であるハワイの景観の素晴らしさをリアルな映像で目撃できるからです。撮影はアニメーションの舞台となったオアフ島で敢行。更にハワイの魅力を正確に表現する為にハワイ出身の撮影クルーを起用し、美しい海はもちろんのこと、ビーチでの日常やハワイの人々の暮らしや文化を知るきっかけとなる映画にバージョンアップしていました。

大人が泣ける…ナニの葛藤が物語のカギ

(C)2025 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

このこだわりは、キャスティングでもつらぬかれ、リロ役のマイア・ケアロハは、アニメーションと同じくハワイ出身の動物も音楽も大好きな女の子。リロの姉であるナニ役も、ハワイ出身者であるシドニー・アグドンが演じています。ちなみにアニメーション版を観ている方ならリロとナニの両親が亡くなっていて、ナニが歳の離れたリロの面倒を見ていることは知っていると思います。実は今回の実写版は、そんなナニに焦点を当て、彼女自身の未来への葛藤を深く描いているのがポイント。なので、大人のほうがこの映画に感情移入してしまうかもしれませんよ。もちろん、スティッチの複雑な内面も更に掘り下げて描かれています。

実写映画から広がる子どもたちの世界

(C)2025 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

それにしてもCGのスティッチの可愛さはたまりません!毛の一本一本がリアルでありながら、アニメーション時のビジュアルを崩さないようにフォルムは丸みを帯びていて、まるでよく出来たぬいぐるみのよう。もうずっと観ていたいほど、動きも含めて何から何まで愛おしいのです!今回の実写化は、そういった意味で子どもたちも飽きることなく楽しめ、スティッチの可愛さをきっかけにハワイにも興味を持つはず。海外への知的好奇心がくすぐられ視野が広がると考えると、やはり実写映画は世界探究への気軽な教材なんですよね。

『リロ&スティッチ』
6月6日(金) 全国劇場公開
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
https://www.disney.co.jp/movie/lilo-stitch

伊藤さとり

映画パーソナリティ/心理カウンセラー。映画コメンテーターとしてTVやラジオ、WEB番組で映画紹介。映画舞台挨拶や記者会見のMCもハリウッドメジャーから日本映画まで幅広く担当する。
●連載一覧はこちら>>

タグ:

Page Top

error: Content is protected !!