ペットと暮らす喜びを知る『ルー、パリで生まれた猫』子供の字幕デビューにも
2023.09.29
洋画公開時の吹替版は最近のこと
コロナ禍の際、世界的にペットを飼う人が増えたと言われています。ただし、育てきれずに遺棄してしまう人も少なからずで、改めて「命の価値」について子供と話し合って貰いたいなぁと個人的には思っています。ならばオススメ映画があるので映画館で是非に!と書いているものの、その作品が「字幕版のみ」上映なので、小さいお子さんをお持ちの方は躊躇するかもしれません。
だけどね、私が映画館デビューしたのはまだ5歳の頃で、イギリスのミュージカル映画『シンデレラ』(1976)だったんですが、あの頃は吹替版なんて親切なものは存在しなかったんです。実は劇場公開の実写洋画で吹替が最初に作られたのは諸説ありますが、『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』(1980)という説が濃厚。
なので特に小学生のお子さんをお持ちの方なら、ご家族で『ルー、パリで生まれた猫』(2023年9月29日公開)を観に行って欲しいな、フランス語に触れるチャンスだし、と思っています。
動物を育てることを疑似体験
そんなフランス映画『ルー、パリで生まれた猫』の主人公は子猫のルー。猫の映画やテレビ番組って、日本では「岩合光昭の世界ネコ歩き」が有名だけど、この映画がお子さんにオススメの理由はただ一つ!主人公である子猫のルーを人間の子供が育てるという、子供目線ど真ん中の映画だからです。
物語は、10歳の女の子クレムが屋根裏で生まれたばかりの子猫を見つけ、親の反対を押し切り一緒に暮らし始めるところから子(猫)育てが始まります。子猫っていたずら好きなんだ!こんなに愛をくれるんだ!小さな子供でも親として認識してるんだ!という発見の連続で、「命を育てる」ことについてスクリーンを通して子供たちが疑似体験できるんです。
ペットを通して命の価値について考える
それだけでなく、ペットを飼えば必ずいつかはやってくる「死」についても言及していて、ペットを飼う覚悟を映画から学べるんですよね。そう、可愛いだけで飼ってはいけない。自分の気分で可愛がるのもペットに失礼。餌を与えたり、ペットの体調の変化を気にしたり、「命を育てる」ことで他者を観察する術を学び、人とのコミュニケーションで大事な「相手の様子を見る」ことも自然と覚えていくペットとの暮らし。特に猫は、感情表現が豊かな犬よりも表からは見えづらい動物。しかも猫は痛みにも我慢強いと言われています。
この映画では、動物トレーナーが入って、監督と辛抱強く猫の動向を観察し、観客の私達が猫の感情を読み取れるように、猫の一瞬の行動や表情の変化をカメラに収めることに成功しました。
相手をよく見て愛情を注げば、愛して貰えることを動物から学ぶ。それがペットと暮らす最大の喜びで学びですよね。可愛い猫と野生動物にも会える映画『ルー、パリで生まれた猫』で是非、字幕体験を。
『ルー、パリで生まれた猫』
9月29日(金)新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座他全国順次公開
配給:ギャガ
監督: ギヨーム・メダチェフスキ
出演: キャプシーヌ・サンソン=ファブレス、コリンヌ・マシエロ等
動物トレーナー:ミュリエル・ベック等
動物たち:ルー(キジトラ猫)、カリーヌ (白猫)、フリョ(ナポリタン・マスティフ犬)等
原題:MON CHAT ET MOI, LA GRANDE AVENTURE DE RROÛ
伊藤さとり
映画パーソナリティ/心理カウンセラー。映画コメンテーターとしてTVやラジオ、WEB番組で映画紹介。映画舞台挨拶や記者会見のMCもハリウッドメジャーから日本映画まで幅広く担当する。
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※この記事は、令和2年度第3次補正事業再構築補助金により作成しました
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