子どもに伝えたい!人生の教訓が詰まった映画「ムーミンパパの思い出」

コラム

2023.12.27

© Filmkompaniet / Animoon  Moomin Characters™

世界中に愛されているムーミン。
そもそもフィンランド出身のトーベ・ヤンソンが1945年に出版した「小さなトロールと大きな洪水」に登場したムーミン一家の物語が発祥で、以降、トーベにより次々とエピソードが誕生。やがてムーミントロールは様々な国に知れ渡り、1959年にはドイツでパペットによるテレビシリーズ化、日本では1969年からアニメーションとしてテレビシリーズになり、1990年にも新たな企画で放送、日本でのムーミンブレイクはテーマパークが出来るまでになり、現在に及びます。
ちなみにムーミン映画は今までもアニメやパペットで作られてきましたが、原作者トーベ・ヤンソンの半生を映画にした『TOVE トーベ』(2020)を見ると、芸術家の両親のもとで育った彼女の葛藤や哲学、ムーミン誕生秘話やファッションや愛に至る自己表現方法について、わかりやすく知ることができるのでオススメ。

ムーミンのパペットアニメ

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さて今回のムーミン映画はというと、ポーランドで制作されたパペットによるストップモーション・アニメの短編をフィンランドでデジタルリマスターし、編集した新たな長編になります。これまでも劇場版長編映画シリーズとして『ムーミン谷の夏まつり』(2008)、『ムーミン谷の彗星』(2010)、『ムーミン谷とウィンターワンダーランド』(2017)が公開されてきましたが、その4作目が本作『ムーミンパパの思い出』です。

ムーミンパパの若かりし頃の出会いとは

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物語は、ムーミントロールにムーミンパパが若い頃の出来事を語るというストーリー仕立て。ムーミンパパはみなしごホームで育ちますが、ヘムレンおばさんがあまりに秩序を大事にすることから違和感を覚え、冒険の旅に出ます。旅の途中で様々な出会いがあり、ひとりから仲間になって大航海へと繰り出すのです。このメンバーには、スニフのお父さんやスナフキンのお父さんもいるので、ムーミントロールの仲間の原点が分かる物語でもありました。

ムーミンパパの名言

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ムーミンと言えば、名言!
本作にもムーミンパパの名言が沢山飛び出します。特に、印象に残るのが、「どんな状況でも楽しんだ方がいい」という言葉。ムーミンパパはホームではヘムレンおばさんに「13番」と呼ばれていたのですが、自分は「唯一無二のムーミン」だと書き残して先の見えない困難な旅でも退屈なホーム暮らしよりはマシと考え、飛び出すのです。彼のモットーは誰も退屈させないというもので、仲間に対してもいつも前向きに接し、勇敢な姿を見せるのです。
そんなムーミンパパのようにドラマティックな人生を送れるのか、ムーミントロールも心配しますが、ムーミンパパはそれについてもしっかり助言するのも「何事にも逃げない」ムーミンパパらしい点でした。

ムーミンには人生の教訓が詰まっている

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劇中、ムーミンパパは仲間と困難を乗り越えていきます。しかも後半では人生の冒険を乗り越える為に一番大切な出会いについても伝えているのです。思えば「ムーミン谷の名言集」や「ムーミンパパの名言集」という本が出版されているくらい、トーベ・ヤンソンが生み出す物語には人生を乗り切る為の格言が詰まっています。だから何歳になっても、その時々で胸に響く言葉に出会えるんですよね。思わず触りたくなる柔らかなパペットアニメで描かれるムーミン一家と仲間達の冒険は、親から子へ受け継ぐ人生の教訓として、家族で楽しめる作品になっていますよ。

ムーミンパパの思い出
12月29日(金) 新宿バルト9ほか全国ロードショー!
キャスト:高山みなみ 大塚明夫 谷育子 かないみか 中尾隆聖 子安武人 佐久間レイ
原作:トーベ・ヤンソン
監督:アイラ・カーペラン
プロデューサー:トム・カーペラン アイラ・カーペラン
制作国:フィンランド
配給:東映ビデオ
© Filmkompaniet / Animoon  Moomin Characters™
公式サイト https://moominpapa-movie.com/

伊藤さとり

映画パーソナリティ/心理カウンセラー。映画コメンテーターとしてTVやラジオ、WEB番組で映画紹介。映画舞台挨拶や記者会見のMCもハリウッドメジャーから日本映画まで幅広く担当する。
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