ポリコレのやりすぎ?映画『ピノキオ』が伝える偏見のない子どもの育て方

コラム

2022.09.14

© 2022 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved

実写版へ、改変に込めたメッセージ
ディズニープラスで配信が始まった映画『ピノキオ』。
現在、ディズニーアニメーションは、『美女と野獣』(2017)、『アラジン』(2019)、『ダンボ』(2019)他、今までアニメーションで描かれてきた名作を次々と実写にして書き換えを行なっています。ん?「書き換え」って何?と思った方へ。実はディズニーはアニメをそのまま実写化しているのではなく、肌の色や外見への偏見を無くすこと、女性の地位の向上、仲間をいじめないこと、といったメッセージを盛り込んでディズニー映画をリメイク中なのです。

良い子になれば、本当の人間になれる?

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そんな中、新作『ピノキオ』は、一人暮らしのゼペットじいさんが亡き息子の面影を投影させた木彫りの操り人形ピノキオを完成させるのですが、その夜、ブルー・フェアリーによってピノキオに命が吹き込まれ、善悪の区別がつかないピノキオの「良心」を育てるために、コオロギのジミニーをお目付役として任命します。「良い子になればおじいさんが願う本当の人間になれる」ピノキオはそう思って、おじいさんの言い付け通り学校へ行こうとするのですが、途中、悪いキツネの誘惑に乗り、人形一座で踊ることになるのです。

豪華な制作陣&キャスト!
ブルー・フェアリーによる「星に願いを」歌唱シーンも

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今回、監督を務めるのは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985)、『フォレスト・ガンプ/一期一会』(1994)のロバート・ゼメキス。更にキャスティングも豪華で、ゼペットじいさんには名優トム・ハンクス、子ども達を騙す馬車屋コーチマンには『美女と野獣』でガストンを演じたルーク・エヴァンスが務め、歌声も披露しています。そしてブルー・フェアリーには、『ハリエット』でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされた歌手でもあるシンシア・エリヴォが扮し、グラミー賞受賞経験もある彼女が名曲「星に願いを」を歌唱するのです。

子どもの発達心理にも影響、ポリコレの意味

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ここで問題視されているのが、アニメ版のブルー・フェアリーはブロンドの白人女性なのに対し実写版は黒人女性であること。現在も「ポリコレのやり過ぎ」と炎上騒動にもなっています。しかも今後公開を控える『リトル・マーメイド』のアリエルはハリー・ベイリー、『ピーター・パン&ウェンディ』のティンカー・ベルはヤラ・シャヒディと、どちらも白人女優ではないことで物議を醸しています。けれど、考えてみれば自分たちが小さい頃に見たアニメーションの登場人物が肌の白いキャラクターだったから「イメージと違う」という拒否反応が生まれているのではないでしょうか。

しかも外部からの情報をどんどん吸収し、善悪を学ぶ年齢の子どもたちも観るディズニーアニメーションによる実写の改変は、白人で綺麗な人しか良い役は演じられないという思い込みを生まない為や、女性は裕福な家に嫁げば幸せになれるという思い込みを生まない=全ての人に権利があることを目的に作られているのです。

※ポリコレ(ポリティカル・コレクトネス)とは、あらゆる差別を含まない中立的な表現や言葉を用いること

子どもの判断力を育てるヒントは「ありのまま」

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しかも今回の『ピノキオ』ではもう一つのアプローチがなされています。それは親も無意識で子育てにおいて偏見を持っているということでした。学校に行って勉強すれば良い子になれるとか、自分の子が皆と同じであって欲しいという願いこそが偏見だったと伝えるゼペットじいさんのラストのセリフはアニメーションでは描かれていません。

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どんな見た目だろうと「ありのまま」のその子を受け入れること。そして「良い子に育って」という親の呪縛により期待に答えようとばかりすると、子どもの判断力が育たなくなる、というメッセージが新作『ピノキオ』にはしっかりと綴られているのです。
まさに親子で見て欲しい新生ピノキオ、衝撃の展開が待ち受けています。

伊藤さとり

映画パーソナリティ/心理カウンセラー。映画コメンテーターとしてTVやラジオ、WEB番組で映画紹介。映画舞台挨拶や記者会見のMCもハリウッドメジャーから日本映画まで幅広く担当する。
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